支払遅延の場合の仕入税額控除不適用について
一部の地方税務局は、契約書に定められた支払期限より遅れて支払が行われた場合、当該取引に係る 仕入付加価値税(VAT)の控除が認められない 旨のガイドラインを文書で発行している。具体的には以下のとおりである。
・ヴィンロン省税務局文書 434/VLO-QLDN2(2025年8月21日付)
・ニンビン省税務局文書 2563/NBI-QLDN2(2025年9月19日付)
・ダナン市税務局文書 1744/DAN-QLDN2(2025年10月7日付)
・ホーチミン市税務局文書 3367/TPHCM-QLDN1(2025年10月8日付)
上記文書によれば、企業が 5百万ドン以上(VAT込み) の財・サービスを分割払又は後払いで購入する場合、以下の取扱いとなる。
・契約書に定められた支払期日において、非現金決済の証憑が存在しない部分については、既に控除した仕入VATのうち、当該未払部分を減額調整しなければならない。
・当該減額調整は、契約上の支払義務が発生する 当該申告期間 において行うものとする。
・契約上の支払期限経過後に、非現金決済により支払が行われた場合であっても、仕入VATの控除を再度認めない としている(適切な証憑が揃っていても同様)。
しかしながら、2025年10月31日に開催された ホーチミン市税務局による民間企業との対話会 において、同局は次のように回答している。
・契約書および付属書において後払・分割払の期限が明確に規定されている場合、支払期日に非現金決済の証憑が無ければ、その未払部分を 一時的に控除対象外とする必要がある。その後、非現金決済による支払が行われ証憑が整えば、当該仕入VATは控除可能である。したがって、いわゆる「控除資格の永続的喪失」を定めた規定は存在しない。
以上を踏まえ、企業は以下の点を総合的に検討し、適切な対応を選択する必要がある。主管税務機関の見解、契約書における支払条件、発生し得る税務リスクを十分に考慮し、規定に適合しつつ 仕入VAT控除の権利を最大限確保 することが求められる。

