税務・インボイスの行政違反に対する処罰を定める政令310/2025/NĐ-CP号
2025年12月2日に政府は政令310/2025/NĐ-CP号(以下「政令310号」)を公布し、政令125/2020/NĐ-CP号の一部条項を改正・補足した。
政令310は、2026年1月16日より施行される。
政令310号における主な改正・補足事項は以下のとおりである。
(1) 「税務の行政違反行為」の概念の拡充・明確化と「不可抗力」の追加
- 政令310号は、税務分野における行政違反行為の範囲を拡大するとともに、その概念をより明確化している。
– 税務に関する行政違反行為
税務管理に関する法令、税法と税務当局が徴収を管理するその他の歳入に関する法令に違反する、組織または個人の故意または過失による行為をいい、刑事犯罪には該当しないが、行政処分の対象となるものをいう。
– その他の歳入」の範囲(国家予算収入を網羅)
土地使用料、土地/水面の賃借料、鉱物資源、水資源の採掘権付与に係る収入、国有企業における税引後利益の残額、株式会社または二人以上の社員を有する有限責任会社における国家資本持分に係る配当金/利益、ならびに国家資本の管理と投資に関する法令に基づくその他の収入を含む。
- 本政令は、税務とインボイスに関する行政違反の処分において、「不可抗力」とみなされる事由を新たに追加しており、主に以下の場合を含む。
– 天災、災害、感染症の流行、火災、突発的な事故
– 戦争、暴動、ストライキ
– 客観的に発生し、かつ事前に予見することが不可能な事象
(2) 処分対象者の拡大・追加
政令310号は、本政令に基づく行政処分の対象者について補足と明確化を行い、直接の納税義務者ではない第三者であっても、一定の場合には本政令に基づき行政違反として処分の対象となる旨を規定している。具体的には、以下のとおりである。
(3) 同一日・同一申告書において複数の違反がある場合の処分原則
政令310号は、従来の実務において問題となっていた重複処分の課題を解消するため、新たな処分原則を規定している。具体的には、以下のとおりである。
- 同一日において発生した複数の違反行為については、最も高い処分枠(最高の制裁水準)を有する行為につき、1回のみ処分を行うとの原則を適用する。
本原則は、以下の場合に適用される。
– 納税者が同一の税務申告書において一つまたは複数の申告項目を誤って申告した場合
– 納税者が同一の税目に係る複数の税務申告書の提出を遅延した場合
– 納税者がインボイスに関する同一種類の複数の通知または報告書の提出を遅延した場合
- 同一の申告書(書類)において複数の違反行為がある場合には、処分は1回に限って行うとの原則を適用する.
- 罰金額の適用原則
– 減軽事由が1件ある場合
➞処分枠の平均額から10%を減額した金額を適用する。
– 加重事由が1件ある場合
➞処分枠の平均額から10%を加算した金額を適用する。
– 減軽事由が2件以上ある場合
➞処分枠の下限額を適用する。
– 加重事由が2件以上ある場合
➞処分枠の上限額を適用する。
(4) 大規模な違反行為の認定
大規模な違反行為(加重事由の適用対象)を判定するための基準額・基準数について、より明確に規定されている。具体的には、以下のとおりである。
- 脱税行為:1億ドン以上
- インボイスに関する違反(紛失、焼失、破損、廃棄等):インボイス10番号以上
(5) 税務違反に対する処分の変更点
5.1 インボイスの発行時点誤りと不発行
@ 上記の過料額は法人に適用されるものであり、個人に対しては、法人に適用される過料額の2分の1を適用する。
(6) その他の主なポイント
- 違反行為の区分変更(脱税 → 過少申告)
初回違反であり、処分を受ける前に自主的に修正申告を行い、かつ税額を納付した場合には、脱税行為から過少申告行為へ区分を変更する。
- 処分時効の見直し
– 手続違反については2年
– 脱税または過少申告については5年
- 処分権限の分級化
各レベルの処分権限を拡充するとともに、処分可能な金額上限を引き上げる。





