政令320/2025/NĐ-CP号(以下「政令320号」)
法人税法(以下「CIT法」)の一部条項および施行措置を定める政令
2025年12月15日に法人税法2025年の施行を詳細にガイドするため、政令320/2025/NĐ-CP号が公布された。本政令には、以下のとおり重要な新規・改正規定が盛り込まれている。
1. 特定のケースにおける外国法人に対するCITの算定方法
外国法人投資家によるベトナム国内での持分譲渡取引
外国法人投資家がベトナム国内において行う持分譲渡取引については、従来の「譲渡価額から取得原価を控除した譲渡益」に対して課税する方式に代えて、譲渡価額総額に対し一律2%のCIT課す方式が適用される。ただし、本規定は、同一企業グループ内での内部再編取引であり、ベトナム子会社の最終親会社に変更がなく、かつ実質的な利益が発生しない場合には適用されない。
本規定は、政令施行日である2025年12月15日より適用される。
外国請負業者に支払われる貸付利息
外国請負業者に対して支払われる貸付金利息については、従来どおり法人所得税率5%が適用され、草案段階で検討されていた10%への引上げ案は採用されなかった。
2. 損金算入・不算入費用に関する改正
政令320号は、多くの費用項目に対して管理・統制を強化する一方で、実務上前向きな改正点も多数盛り込んでいる。主な内容は以下のとおりである。
非現金決済を要する支出項目について
政令320/2025/NĐ-CPにおいて、法人税の課税所得を算定する際に損金算入が認められるための要件として、商品・サービスの購入に係る支出およびこれに類する支払については、1件当たり5百万ドンを超える場合、非現金決済の支払証憑を備えることが求められる旨が新たに規定された。本規定は、従来の2,000万ドンという基準額に代わるものであり、付加価値税の規定との整合性を図る趣旨で設定されたものである。
当該規定は、政令の施行日である2025年12月15日以降に適用され、2025年課税年度全体に遡って適用されるものではない。
給与支出に関する留意点
給与に係る支出については、一部の地方税務当局において、1回当たり5百万ドン以上の支払については、非現金決済の証憑を備えなければ損金算入が認められないとの見解が示されており、具体的には以下の事例が確認されている。
- 2025年12月26日開催の2025年税務対話会議における税務局の回答
- 財務省電子ポータルサイト上に掲載された、ホーチミン市税務基礎局の2支局の回答
- ホーチミン市税務基礎局第14支局発行の公文書01/TCS14-QLDN1号
現時点では、通達レベルにおける統一的なガイダンスが未整備であるため、企業としては、給与に関する非現金決済要件の適用について慎重に対応することが望ましく、併せて専門家の意見を参照する、または公式な指針の公表を待つことにより、税務リスクの低減を図ることが推奨される。
その他の損金算入・不算入費用に関する主な改正点
- 陳腐化・技術的老朽化により使用不能となった棚卸資産についても、従来の自然劣化や使用期限切れによる毀損に加え、損金算入が認められる対象として明確化された。
- 任意年金基金、社会保障性を有する基金、任意保険および生命保険への拠出金について、企業が法定の強制保険義務を完全に履行していることを条件に、損金算入限度額が従来の月額300万VND/人から、月額500万VND/人へ引き上げられた。
- 金融機関以外からの借入金に係る支払利息のうち、現行民法で定める年利20%を超える部分については、引き続き損金不算入とされる。
- 事業活動に供される贈答品・無償提供品に係るVATについては、損金算入が認められることが明確化された。
- 労働法令で定められた上限時間を超える時間外労働に係る人件費については、損金算入の対象外であることが明確に規定された。
- 研究開発(R&D)活動に対する超優遇措置
R&Dに係る実際発生費用の最大200%までを損金算入可能とする規定が導入された。これは、企業の技術自立およびイノベーション促進を目的とした極めて高水準の税制優遇措置である。
- 収益未対応費用の取扱い
合理性を有するものの、直ちに収益を生まない費用についても、一定条件の下で損金算入が認められる。例として、不落札となった入札関連費用、成果に結び付かなかった市場調査費用、賃貸開始前で入居者募集中の固定資産に係る減価償却費などが挙げられる。
3. CITに関する税制優遇措置
以下の改正点は、多くの企業に影響を及ぼす可能性のある重要な変更点である。
特別投資優遇と優遇地域に関する取扱い
投資法に基づく「特別投資優遇」(イノベーションセンター、研究開発(R&D)センター等のプロジェクト)の適用対象となる事業については、投資登録証明書(IRC)の交付日または投資方針承認日から原則として10年以内に、登録投資総額を全額実行(資金払込み)することが、引き続き優遇措置を受けるための要件として明確化された。
また、経済特区内における新規プロジェクトについて、プロジェクト面積の50%超が優遇対象外地域に所在する場合であっても、法令上の条件を満たす限り、法人税率17%を10年間適用可能とされている
投資拡張プロジェクトに対する優遇措置
投資拡張プロジェクトが税制優遇の対象となるためには、固定資産の取得価額の増加額が、以下のいずれかを満たす必要がある。
・優遇対象の業種・分野における拡張の場合:40十億VND以上
・優遇地域における拡張の場合:20十億VND以上
免税・減税期間の開始時期は登録された拡張投資資金が全額実行され、かつ課税所得が発生した時点とされますが、資金実行完了年度から起算して最長でも4年目を超えることはできない。
優遇措置の重複適用および優遇対象所得の範囲
同一の所得が複数の優遇措置の適用要件を同時に満たす場合、企業は最も有利な優遇措置を選択することが可能である。ただし、過去に既に適用を受けた免税期間、減税期間、優遇税率の適用期間は控除(差引)される必要がある。
・地域優遇を受ける製造活動については優遇地域外で販売された製品に係る所得についても、優遇の適用対象となる。
・一方、商業・サービス事業については、優遇地域内で発生した所得に限定して優遇措置が適用される。
また、特定の所得に対して一度選択した優遇形態は、残存する全ての優遇期間にわたり継続適用され、他の基準による優遇への切替えは認められる。
経過措置(移行規定)
本政令では、現行制度から2025年法人税法およびその施行政令への移行に関する経過措置も規定されている。
- 2025年法人所得税法施行日前に既に優遇措置を受けている新規プロジェクトまたは拡張プロジェクトについては、以下のいずれかを選択可能である。
・既存の優遇制度を優遇期間満了まで継続適用する
・2025年度の課税期間から、新政令に基づくより有利な優遇措置を選択適用する
- 従前は優遇対象であったものの、新法人所得税法および本政令の要件を満たさなくなった所得については、新法施行日以降、原則として優遇措置の適用が終了する。ただし、個別の経過措置により保護(グランドファザーリング)される場合はこの限りではない。
4. 施行日と適用時期
法人税法67/2025/QH15号は、2025年10月1日より施行され、2025年度法人税の課税期間から適用される。
政令320号は2025年12月15日より施行され、2025年度法人税の課税期間から適用される。
具体的な適用時期の判断については、以下のとおり定められている。
- 企業は、売上高、費用、税制優遇、免税・減税および欠損金の繰越に関する規定について、2025年度の課税期間開始日から、または2025年10月1日から、もしくは2025年12月15日からのいずれかを選択して適用することが可能である。
2025年度の課税期間が2025年10月1日以降に開始する企業については、2025年10月1日または2025年12月15日から適用される。
- なお、非現金決済に係る証憑要件および資本譲渡(株式・持分譲渡)に関する規定については、前述のとおり、2025年12月15日から適用される。

